健康にも環境にも優しい空間を作る その2

日本のオフィス賃貸の一番の問題点である「敷金」の話を前回行いました。不動産賃貸借で敷金が必要な理由の一つが「原状回復費」の存在でした。今回はこの「原状回復費」に関してのお話をいたします。

不動産の原状回復費に関して、住宅に関しては内装の劣化は賃料という収益に対しての費用、すなわち減価償却費との考えで著しい毀損以外はテナントサイドの原状回復費の負担はないようになりました。

しかし、オフィスに関してはいまだに原状回復費の負担をテナントに求める商慣習があります。高額敷金が認められる合理的な理由の一つが、事務所や商業施設はテナントが自分の使いやすようにということでスケルトン貸しで行われていることにあります。

スケルトン貸しとは内装の仕上げがない状態で、テナントが好き勝手に内装をしてくださいその代わり契約終了時にはスケルトンに戻してくださいとう賃貸借の形態です。スケルトンに戻すための費用分を敷金で預かりますというのがその考え方になります。

このような考え方は合理的ですのでこの場合の敷金は高額になるのは理解できるものです。

しかし、床はタイルカーペットで壁天井はクロス仕上げのような事務所で内装工事ができないオフィスでの原状回復費を目的に多額の敷金を求めるのはやはり変だと思います。

そこで、私たちは関係者と議論することで出てきた考え方が「原状回復の必要のない空間」でした。いうのは簡単ですが具体的なイメージがわきにくいものでした。しかし、議論を重ねる中で「劣化」と考えるのではなく「味」と考えられる空間にしたら良いのではというアイディアが出てきました。

この「味」というのは経年劣化を楽しむもので、「味」お感じるものが木材ではないかという考えに至りました。木材の経年劣化は「劣化」ではなく間違いなく「味」の領域になります。

内装の主軸を「木材」にすることで浮かんだ言葉が「自然素材」でした。この「自然素材」を考えることで不動産に関する原状回復費の不要なオフィスを作ることができるのでは考えることになりました。

結果的に自然素材にすることで、オフィス環境は良くなり節電されるエコな空間の実現することになりました。次回は、この自然素材に関するお話をしたいと思います。