不動産の有効活用を考える 第6話 等価交換の本質を考えてみる  子供頃を思い出してごらん

第6話 等価交換の本質を考えてみる  子供頃を思い出してごらん

税法の考えで、「同族会社計算行為の否認」という概念があります。これは、会社とオーナー社長の間では、合理的な経済行為とはいえない取引がなされるという考えです。例えば、会社からオーナーへ利益移転する場合には、安く資産を移管する。逆に会社の利益を消すために社長に高く資産を移管することもあり得ます。

税務の実務では会社とオーナー社長との間の取引は神経質になります。実は、この概念は憲法違反と言われています。課税法定主義が憲法上の課税に関する規定です。しかし、「同族会社行為計算の否認」というものは、裁量的な課税になります。そのため、憲法違反との指摘はなされていて、現実に2011年2月に最高裁で裁量的な課税に関して否定して国税敗訴の判決が出ています。(武富士事件)

基本的に憲法上の問題を抱えているのが「同族会社行為計算の否認」ですので、交換に関して合理的な考えがあると私は考えました。そこで考えたのが「交換」の本質は何かについてでした。

話は変わるのですが、あるとき資産の評価の話を取引先の方とした時のお話をします。そこで話なったのが、お客様から問われたのは「その資産の価値ってどんなものなの?」という質問がりました。そこで、「単価かから考えるとこのぐらいの金額ですかね?」と答えました。すると「倉元さん、それは価格であって私が聞いているのは勝ちなの」と再度質問されました。

何か狐につままれた感じがしたのですが、その後冷静になってみると、英語で考えるとわかりやすくなることに気がつきました。日本語だと「価値」と「価格」は似た感じがします。しかし、英語だと「価値」は”Value”で「価格」は”Price”となります。そうなんです、「価値」と「価格」全く異なったものになります。

そこで、違いがあると理解でき、再度考え直してみました。すると、「価値」は主観的なものであって、「価格」は客観的なものだと考えるに至りました。そして、「価値」は主観的なものになるので、第三者には理解できないことになります。

このような「価値」に関する定義をもとに「等価交換」の本質を考えてみました。「等価交換」はお互いの「価格」が同じだから交換するのではなく、「価値」が同じだから交換すると考え方が合理的ではないでしょうか?

そこで、子供の頃の遊びを思い出したのです。私の子供頃は「野球のカード」と「仮面ライダーのカード」が流行っていました。野球で言うと王長嶋のカードを持っているとみんな羨ましがっていて、誰もが欲しいカードでした。

それ以外の選手に関しては、それぞれの人の好き嫌いで人気はバラバラでした。そうなると、カードの交換が始まります。自分の好きな黒江選手のカードを持っている友達がいたら、手持ちのカードを全部見せて交換に応じてくれるまでカードを提供していました。

この時の交換する時には「価格」は関係なく「価値」で交換しているのではないでしょうか?野球のカードと同じようにプロ野球の交換トレードも、選手の年俸がいくらだから、同じ年俸の選手と交換トレードを行うことはないといえます。あくまでも補強に必要な選手を得るために、交換に出して良い選手のリストから相手方は選手をピックアップするのではないでしょうか?

この「価値」による交換を行うと考えると仕組みを考えることができるようになります。しかし、こちらは「価値」で交換したと主張しても税務当局が「価格」で交換したと主張すると交換が否定される可能性があります。次に考えないといけないのは、この「価格」を否定する理論を考えることになりました。